日本酒の知識

味わいについて

日本酒度は甘辛の目安となる数値で、日本酒度がマイナスに傾くほど甘く、プラスに傾くほど辛い傾向となります。

酸度は、日本酒に旨味や酸味をもたらす有機酸の量を表しています。 酸度が高いほど甘みが打ち消されて濃い辛口に感じますが、酸度が低いと淡麗な甘口に感じます。

また、日本酒度と酸度のバランスよって甘辛の感じ方は異なります。


香味の関係性について

日本酒は、同じ銘柄でも使用する材料米や種類や酵母、熟成の度合いによって味わいは異なります。 また、米の外側をどれくらい削るか(精米歩合)によって、香りも大きく変化します。

多彩な味わいを楽しめる日本酒ですが、香りの強弱や味の濃淡によって、大きく4種類に分けることが可能です。


それぞれに合う料理とは?

薫酒と相性が良い料理
香りが強いため、食前酒として楽しまれることが多い薫酒。料理と合わせる場合は、淡白ですっきりした味わいのものがおすすめです。
《例》サラダ、アサリの酒蒸し、生牡蠣、カルパッチョ、棒棒鶏、山菜の天ぷら、アボガドと海老のサラダ等
熟酒と相性が良い料理
味や香りが強い熟酒は、合わせる料理を選ぶ傾向があります。熟酒の個性に負けない、味の濃い料理や油の料理と合う場合が多いです。
《例》熟成チーズ、豚の角煮、麻婆豆腐、すき焼き、ラムのステーキ、スパゲッティミートソース、甘酢餡かけ、鰻の蒲焼き等
爽酒と相性が良い料理
合わせられる料理の幅が広い爽酒ですが、特に味わいが淡白な魚介類や野菜等がよく合います。
《例》刺身、魚の塩焼き、蕎麦、冷奴、出汁巻玉子、茶碗蒸し、野菜のテリーヌ、ポテトサラダ、海老や蟹のシューマイ等
醇酒と相性が良い料理
食中酒として一番おすすめなのが醇酒です。肉料理や味付けの濃い料理とも相性が良いため、洋食にもよく合います。
《例》焼き鳥(タレ)、ステーキ、とんかつ、照り焼きチキン、フライドチキン、煮魚、肉じゃが、麻婆豆腐等

特定名称酒の分類

特定名称 使用原料 精米歩合 麹米使用割合
本醸造酒 米、米麹、醸造アルコール 70%以下 15%以上
吟醸酒 米、米麹、醸造アルコール 60%以下 15%以上
大吟醸酒 米、米麹、醸造アルコール 50%以下 15%以上
純米酒 米、米麹  –  15%以上
純米吟醸酒 米、米麹 60%以下 15%以上
純米大吟醸酒 米、米麹 50%以下 15%以上
特別本醸造酒 米、米麹、醸造アルコール 60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) 15%以上
特別純米酒 米、米麹 60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) 15%以上

種類・製法について

名称 内容
あらばしり 日本酒を絞る際に一番最初に出てくる部分を詰めたもの。フレッシュな香りが特徴。新酒の時期に出回る。
中取り 日本酒を絞る際に、「あらばしり」の次に出てくる部分を詰めたもの。こちらも新酒の時期に出回る。
雫酒(袋吊り) 絞り方の方法のひとつ。酒袋を吊るして、自然の重みで滴るお酒を、一滴ずつ集めたお酒。とっても高級だが、やっぱり美味しい。「純米大吟醸酒の雫酒」は、一度は飲んでみて欲しい。
原酒 絞ったお酒を加水せず瓶詰めしたもの。度数は18~20度になる。ロックで飲んだり、凍らせて呑むと美味しい。
無濾過 脱色や香味の調整を目的とする「ろ過」をしないお酒。「無濾過 生 原酒」として販売され、絞ったそのままの味わいを楽しめる。味に複雑性があって、とっても美味。
おりがらみ 絞ったばかりの日本酒は白く濁っていて、その濁りを「オリ」と言い、通常はオリが沈殿(オリ引き)してからろ過作業に入る。おりがらみはオリが沈む前に瓶詰めしたもの。コクを感じるタイプが多い。
速醸(そくじょう)仕込み 生もと仕込みに対するもので、製造過程の酒母造りにおいて「乳酸」を添加する方法。いま流通している日本酒のほとんどが、この速醸仕込み。
生酛(きもと)仕込み 酒母造りにおいて、壁や柱に住み着いている「乳酸菌」を利用して醸すお酒。ヨーグルトのような香りと酸味がある。生もとをやっている酒蔵は本当に少ない。
山廃仕込み 生もと仕込みと同様に乳酸菌を利用するが、山卸し(やまおろし)という作業を省いたもの。濃醇な日本酒が多い。
新酒・しぼりたて 出来上がったばかりの日本酒。フレッシュで爽やかな香味。
生酒 2回行う火入れ(加熱処理)を行わない日本酒。味が変わりやすいが、とっても美味しい。常温保存はできない。
生貯蔵酒 生酒のままタンクに貯蔵して、出荷前に一度だけ火入れを行うお酒。春から夏にかけて出回る。
生詰め酒 タンク貯蔵前に一度だけ火入れをして、そのまま熟成させてもの。
にごり酒 白く濁ったお酒の総称。目の粗い布で絞ったものが多い。
ひやおろし 春から夏にかけて熟成し、秋に出荷される生詰め酒。一年で最も美味しい。